遥かなる蒼を探して〜水の都ヴェネツィア〜 第三夜

(第一夜id:tech_k:20110513)


念願のイタリアベネチアへ向けて日本を発ったtech_kと友人J氏。
素直にイタリアへ直行せず、フランスはパリから夜行列車「アルテシア・ナイト」ベネチアに入ろうと画策。
先ずはシャルル・ド・ゴール駅から夜行列車の発車駅、ベルシー駅へ電車で移動します。
しかしその途中、乗換駅のシャトレ駅で友人J氏を乗せたメトロ(地下鉄)のドアが、乗り込もうとするtech_kの目の前で閉まってしまいます。
まだ旅の目的地に着く前から、異国の地で離れ離れになったところから第三夜はスタートです。


■1日目 17:45 フランス パリ ベルシー駅
プシューッと音を立てて開いた地下鉄のドアを出ると、目の前のベンチに友人J氏の姿を発見しました。


友人J:
「もう、何やってんですか!」
tech_k:
「いや、いきなり目の前に人が割り込んで来て・・・」
友人J:
まだ、目的地にも着いてないし、アルテシア・ナイトにも乗ってないってのに、色々やってくれますよねぇ」
tech_k:
「不可抗力やって・・・」


こうして無事合流しました。
メトロのベルシー駅を出て、アルテシア・ナイト発着のベルシー駅に向かいます。

メトロ(地下鉄)のベルシー駅からは少し歩きます。地上に出ても案内板が小さいので結構分かり辛いです。
ただ、スーツケースを引いている人が多いので、その流れに付いて行くとすぐにベルシー駅が見えます。


こうのような大階段がお出迎えです。
事前に調べたところ、「JR京都駅伊勢丹の大階段の3分の1くらい」と表現されている方がいましたが、そこまでではないと思いましたが、うまいこと言うなあ。分かる人には分かる表現だと、JR新宿駅東南口の前の階段の3分の2くらいでしょうか(←微妙な表現)
ともあれ、女性が大きいスーツケースを持って昇るにはちょっとキツイ感じくらいですね。
横にエスカレータがあるのですが、このときは故障中・・・
(どうしても辛いときは、大階段の手前の道を、階段に向かって右に登って行くと、遠回りですが、右手に回り込んでスロープ状に登って行くことができます)

そうして階段を上ると駅のロータリーがあり、その先が駅となっています・・・が、駅構内はもう人があふれています。狭いってのもあるんでしょうが、芋洗い状態。
しかし、まあ・・・・パリなのに、なんとも「場末感」の漂う駅です。

案内板にはまだホームが表示されていませんので、思ったよりもかなり余裕のようです。
(列車名の一番右端(Voie)にホーム番号が表示されたら乗り込んで良い合図)

ここには売店もあり、パニーニやマフィン、お菓子に飲料などを売っていましたが、ちょっと高い

まだ時間もあるので、もう一度メトロのベルシー駅の方に戻って買出しをすることに。
メトロ駅前にはレストランやカフェが並んでいて、パン屋なども見かけます。
そこで友人J氏はフランスパンを、私は大きなビスケットを仕入れて再び駅に戻ります。


友人J:
「やっぱりフランスはフランスパンが美味しいんですよ」


ということで、少し友人J氏からもらいましたが、確かに固いながらも中はしっとりとしていて、日本で食べるフランスパンより美味しく感じました。


さて、相変わらず駅のコンコースは混んでいますが、しばらく待つと列車が入ってきて、人が流れて行きます。まだ、ホームが表示されてませんが、まあ、他の人がどんどん行ってるから良しと。

我々も列車に乗り込みます。
と、その前に・・・

駅のホームにある黄色い改札機で切符にガチャコンと日付を印字しておかなければいけません。
フランスは・・・イタリアもそうですが、地下鉄でなければ駅に改札はありませんので、自分でこの機械に通さなければなりません。日本人には慣れないルールです。
もし、印字を忘れると、とても高い罰金を取られるそうです。完全に自己責任。



食堂車

寝台車

絵で車両分けしてるのが面白いですね。

列車にはこうした号車番号の紙が張ってあります。行き先も書いてあるので、間違えなくて良いですね。
この列車の直後にローマ行きもあるので、乗り間違えたら大変。


■1日目 18:55 夜行列車「Artésia Night(アルテシア・ナイト)」
さあ、いよいよ列車に乗り込みます。

席の種類はいろいろありまして、一等2人個室寝台、二等2人個室寝台、二等3人個室寝台、二等4人寝台、二等6人席と、だいたいこんな感じです。細かくは予約方法も含め「まとめ編」で。

当初、二等2人個室寝台でゆっくり・・・と思いましたが、日程が二転三転している間に満席になってしまい、やむを得ず4人寝台に。
二等3人個室寝台までは、部屋に洗面とシャワーが付いているらしいのですが、4人部屋からは洗面が車両内共通、シャワーはなしです。
しかし、人生で初めての寝台列車をヨーロッパで乗ることになるとは思いもしませんでした。

おお、これが寝台。

あれ?6人部屋でしょうか?

そうしていると、同室の方が来られます。おばあさんでした。言葉からするとイタリアの方かな。
結局4人部屋でしたが3人で使うことに。
まあ、イタリア語が(というか英語も)話せるわけではないので、ペチャクチャ会話するわけではありませんが、時に会話しながら、楽しく過ごしました。ですが、友人J氏がトイレ行ったり車内見学行ってるときに限って会話が始まるので、頭フル回転して単語を思い出しました。


さて、発車時間の18:55になりましたが、いっこうに列車は動き出しません
18:59発・・・だったかな・・・のローマ行きのアルテシア・ナイトの方が先に出発しやがる始末です。
これが「イタリアン タイム」だなんて言って友人J氏が同室のご夫人の笑いを誘っていましたが、まさにその通り。
そうこうするうち、発車が待ちきれずに友人J氏が早速車内見学に出発します。私は荷物番しながら、同室のご婦人と会話ちゅう。
しばらくして帰ってきた友人J氏が持っていた紙切れを見せて

友人J:
「食堂車を予約してきちゃいました」


とのこと。
これにはびっくり。
このアルテシア・ナイトについて調べると、食堂車は予約がなくても利用できるものの、先ずは列車が発車してから、車掌が「一等寝台」から順番に予約を取りに回ってくるということでした。
いろんなサイトにも食堂車はいつも満席なんてありましたから、二等4人寝台の我々は、予約を取りにくるころにはもう満席で予約が取れないか、取れても23時ごろなんじゃないかと覚悟してました。


友人J:
「見学ついでに食堂車を覗いたら準備中だったので、中にいる人に予約は取れないか聞いたらあっさりOKでしたよ」


といって、何時に来いと書かれた紙切れを見せます。ありがたいことです。
まあ、なんでも言ってみるもんですな。

さて、そうこうするうちに、こちらも列車が走り出しました。
いよいよ、旅のスタートです。


このベルシー駅は、ああした車用貨物の発車駅でもあります。車は貨物列車で運び、人はTGVなどでバカンスに行くんでしょうかね。

しばらくは列車の車庫や街並みが続きます。

流れる街並みを見てるだけで、すぐに時間が過ぎてしまいます。


■1日目 19:45 アルテシア・ナイト 食堂車
時間が来ましたので、食堂車に意気込んで乗り込みます。
おお!きれいな食堂車です。

4人がけテーブルが9つくらいでしょうか。
真っ先に乗り込み、予約したメモを見せるとテーブルに案内してくれます。
席にはすでに、水とワインが置いてあり給仕の方が開けてくれます。2人で1本ずつ。ワインは赤のハーフボトル、水は珍しくガスなし。

話は横にそれますが、列車内はすでにイタリアです。挨拶もボナセーラ(こんばんは)でOK。

その後すぐに、続々と予約した人たちがやってきます。
4人がけのテーブルしかありませんので、当然、みんな合席。あっという間に満席です。
我々の隣には、これまたご婦人がお二人座られました。
みんなそろうと一斉に給仕が始まります。なるほど、給仕の方が一人しかいませんので、効率的に行くんですね。
メニューのコースは1種類のみ。そのため、注文する必要はありません。席についてワインでも飲んでいれば全員そろって勝手にスタートします。

前菜はニョッキ。ただし味が二種類あるようです。トマトかバジルかみたいですが、隣のご夫人がバジルって言ったのに、「まあトマト食え」といわんばかりに、トマトのパスタを強制的に皿に盛ります。
しかも盛り方が豪快。結構な量を盛ってくれます。

次はジャガイモとパスタとマッシュルームの煮込み。

こちらもソースが2種類あるようですが、選択する余地もなくどんどん皿に盛られます。これもまた大盛り
2皿平らげましたが、もうかなりおなか一杯になっています。
そんなところに、「余ってるからもっと食え」ということで、やっとこ空にした私の皿に、給仕のおっちゃんが更にぶち込みます
まあ、こういうところで、友人J氏だけでなく周りの見ず知らずの人たちまで爆笑になるわけで。言葉は通じなくても和気あいあいとした雰囲気の食事です。

笑いが取れておいしい状態ですが、こっちとしてはそろそろお腹も一杯。唯一の救いはさっきとは違うソースなこと。それでも平らげ、いよいよメインディッシュがやってきます。
さすがに、メインは選択ができました。

しかしここに来て手のひらサイズの肉2枚
でも、雰囲気で食えてしまうから不思議。
そして止めのデザート・・・

大満足です。古き良きディナーコースという感じ。
なお、2人で66.7ユーロ(水1本、ワイン1本含む)だったかな。(サービス料込み)
最後に実費精算ですが、テーブル会計ではありません。飲み物も別途追加可能です。


■1日目 21:15 アルテシア・ナイト
やっぱりヨーロッパのディナーってのは余裕で1時間を越えますね。
さて、ヨーロッパの夏はこの時間になっても夕暮れくらいの明るさがあるので不思議な感覚です。
我々と入れ違いにディナーに行った同部屋のご婦人もやがて戻ってきて、ベットメイクをします。

本来6人用なので、片側に上中下段と3段のベットになる仕様です。4人で使うので上段と下段のみでいいのですが、友人J氏は下段がうまくフラットにならず、中段をわざわざ出して寝転がります。
私は、同じく下段がフラットにするのがめんどくさいので下段のまま寝転がります。(実際、硬くてうまくベットにチェンジできない・・・)
そうして、列車に揺られながらいつの間にか寝入るのでした・・・・


・・・・が、下段が思ったよりも狭い。寝返りさえ打てない。フラットにしなかったので傾いてる、あまり寝付けない。
こりゃ、中段を出した友人J氏が正解でした。

あまりに眠れないので、早朝に着いたミラノ セントラル駅で写真など撮ってしまう。

あと、ここからはスイッチバックして進行方向が変わります。気付かないと、起きたときにびっくりする人もいるかもしれませんね。


■2日目 9:50 サンタ・ルチア駅到着
同室のご婦人は途中のヴェローナで下車をされましたが、我々二人は列車に揺られいよいよ終点ベネチア サンタ・ルチア駅へ。

本土から離れ、海の上を線路が長いアプローチを描いてサンタ・ルチア駅へ渡っていきます。



なんか、目的地に着くまでがえらい長かったですが、いよいよベネチアに到着。
旅の本番がスタートするところで、続きは次回にしたいと思います。
ベネチア旅行記のはずなのに、到着するまで三夜も使っているのは気のせいですね・・・。