死なない男に恋した少女

死なない男に恋した少女 (HJ文庫)

死なない男に恋した少女 (HJ文庫)

■独断偏見ミシュラン:★★★☆☆

第1回ノベルジャパン大賞奨励賞受賞作品。内容紹介とイラストで興味を持って購入。
「絶対死なない」主人公と、人を刺すことにオルガズムを感じるヒロインの・・・えー、なんてういうか・・・ハートフルと言うには血生臭さ過ぎ、運命の出会いと言うには血生臭さ過ぎ、恋物語と言うには血生臭さ過ぎ・・・まあ、とにかくそんな感じ。
まあ、絶対死なない主人公に殺人鬼が恋をしたという突拍子もない設定はなかなか面白い。評価するのは、ヒロイン・桐崎恭子が自分の殺人行為を自分の欲求を満足させるためのことと認識しており、ネットなどで神などともてはやされたり、芸術性などと言っているやからに冷たい視線を送っていること。自分に陶酔しているわけではない姿には好感(でいいのか?)が持てる。また、サブキャラの久遠りんを殺さなかったこと。主人公・狗人に頭をなでられている時とか、は、あー絶対に偽者に殺られると思っていて気が滅入って読み進めましたが、なんとか一命を取り止めるこことができたので、やるんじゃん!著者、などと思ってしましまいました。ホイホイ登場人物を殺してしまうライトノベル作品も多い中、この扱いは良いですね。
一方で釈然としないのは、まあ、ヒロインは殺人鬼なわけで、なんの罪もない普通の一般人を次々と自分の欲求のためだけに殺してきた。ですが最後の方で謎の男に突っ込まれていますが、「殺したのは仕方なかった。でもどうにかなりそうだから、これから普通に生きることを許して欲しい」みたいに受け取れる。ヒロインの心の葛藤もちゃんとあるけど、物語上仕方のないこととはいえ、殺されてきた人たちの扱いが軽いかなと。
まあ、そしたことはありますが、ライトノベルとして面白いと思いますので、続きにぜひ期待したいと思います。しかし、帯に書いてある新カテゴリー「サシデレ」って・・・。
なお、イラストはぷよ氏。漫画「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」を描いてる人ですね。でもイラストは作風が違いすぎてわからんかった。恭子の照れ笑いなどはいい感じでかわいく描いています。てか、シリアスな場面でクマさんパンツまで律儀に書くので、思わず吹いた。描写に忠実すぎて恐ろしい人です。


■今日の決めゼリフ

「ポジティブなのは、何も考えていないということではないのか?」(by 桐崎恭子)
狗人の「ポジティブなのか、何も考えてないのかどっちなんだお前は」という突っ込みへの答え。上手いこと言うなあということで。


次点:「――私の恋人になってくれ、クギト!」(by 桐崎恭子)
自分を刺した女に言われてもねぇ・・・。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。