死神のキョウ

死神のキョウ (一迅社文庫)

死神のキョウ (一迅社文庫)

■独断偏見ミシュラン:★★★★

ラノベ界に新たに誕生した「一迅社文庫」。その創刊ラインナップのひとつ。
一迅社と言えば、そうあの「一迅社」です。まさかラノベ界に殴り込みをかけてくるとは・・・。
さて、その本巻ですが・・・・・やられました。
冒頭からガツンとかまして、一気にギアをトップに入れて突っ走り始めます。主人公の恭也、ヒロインのキョウ、クラスメイトの克己と黒峰、この4人の掛け合いのボケと突っ込みのテンポとギャグが小気味良く、吹き出すほど面白い。一気に引き込まれ先の展開に期待でワクワクさせられました。
ストーリーも徐々に加速し二転三転する急展開。また、克己との友情と悲しい結末など、メリハリが利いていて、最初は会話の突っ込みなどが面白くハイテンションだなぁと思っていましたが、中盤以降は逆にそことの対比が物語を引き締めていていい感じです。
著者魁氏は本業はゲームのシナリオライターとのこと。CLANNAD藤林杏シナリオを担当ということです。ゲームはやっていませんが、アニメ化などでブレイクしているのでCLANNADの名前は知ってました。1本完結のシナリオライターだからという訳ではないでしょうけど、克己の結末には思い切ったことをしたなぁと思います。
まあ、こういうところに泣き所を用意するのがいい意味でいやらしいですね。
イラストは、「ライトノベルの楽しい書き方」でも活躍される桐野霞氏。申し分ありません。
強いて難点を言うならば、場面転換での新たな出来事が唐突すぎたと感じました。まあそんな大げさなことではないんですが、キョウのカンニングはわざわざ全国模試にする必要はなかったと思うし、「序列戦」の出方がいきなりだし(こうしてみると「バカと試験と召還獣」の試召戦は出し方が上手いと思う)、ちょっと無理矢理っぽいですね。
まあ、でも、総合的には非常に面白い作品で気に入りました。著者にもぜひ今後いろいろいろな作品を期待したいと思います。もちろん続刊でも大歓迎。
また、新創刊の一迅社文庫にも期待大です。

■今日の決めゼリフ

「いや、殺しに来たんじゃねえの?」(by 笹倉恭也)
死神であるキョウの、あなたを守りに来ましたという台詞に対する恭也の突込み。
冒頭からこうした突っ込みが満載で心地よい。内容紹介にも載っている台詞。こうしたノリは大好きですので、一気に虜にされました。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。