疾走れ、撃て!

疾走(はし)れ、撃て! (MF文庫J)

疾走(はし)れ、撃て! (MF文庫J)

■独断偏見ミシュラン:★★★★

同文庫の「あそびにいくヨ!」シリーズで有名な神野オキナ氏の新シリーズ。「疾走れ」は「はしれ」と読みます。
突如出現した異形の「敵」から侵略を受ける世界。その侵略から守るために徴兵制度が設けられた近未来の日本、そして対抗手段の切り札として「魔法」がある世界の話。
まだ1巻ということで伏線だけで終わっているものもあるが、私は素直に面白いと思う。
基本のストーリーラインを抑えつつ、主人公のことが好きだが素直に好意を表現できずいつもつっけんどんになってしまう、中学時代の同級生の女の子や、主人公のことが気になるものの素直に感情表現ができないヒロインなど、キャラの魅力付けが上手い。そこに極限状態の「戦争」という人間ドラマを入れることでストリーを引き締めている。
当然、数多く出てきたサブキャラの生き死にも気になるし、ヒロインやライバルとなっていく女の子たちとの恋のバトルも見逃せない。とてもワクワクさせられる1冊でした。
ちなみに、お気に入りキャラはそれでも深冬。静かで芯のある美人はいいですね。
一方、面白いが故に惜しい点が何点か・・・というか個人的な好みの問題だけ。
まず、ミヅキの眼鏡はやめて欲しい。あくまで「個人の好み」で言わせてもらえるなら、俺ッ子はスレンダーなショートカットでしょう!なにより私は眼鏡属性はありません。
次に、今回の第1巻は2巻くらいにわけるくらい深く切り込んで欲しかった。これは完全に結果論で、非常に気に入ったから思うのであって、もう少し訓練期間にイベントを起こして欲しかったし鷹乃と理宇の間にももっといざこざがあったはず。さらに伊達と夏華の関係を詳しく書いて欲しかったし、これはまあ先々でかかれるだろうが、理宇が杖候補に選ばれた経緯を書いて欲しかった。
などと、個人的な好みの話になりましたが、とても気に入りましたので、次巻以降も楽しみにしたいと思います。


■今日の決めゼリフ

「ここは軍隊で、あなたもわたしも軍人だってこと、忘れないで……好きな人を助けるにも手順がいる世界なのよ、ここは」(by 鳥越深冬)
上官である虎紅に連れ去られた理宇が殺されるんではないかと誤解し、虎紅のところに武装して乗り込もうとするミヅキを諌めての言葉。いや、美人で冷静で、おいしいところを押さえている感じで深冬はいいですねぇ。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。