スクランブル・ウィザード

スクランブル・ウィザード (HJ文庫)

スクランブル・ウィザード (HJ文庫)

■独断偏見ミシュラン:★★★☆☆

第2回ノベルジャパン大賞の大賞受賞作とのことで、イラストと内容紹介に惹かれ購入してみる。
著者があとがきで言っているように、根底にあるのは「年の差カップル」の話なんでしょう。某スーパーダッシュ文庫からも先月出ましたが、小学生相手(そういう意味では某スーパーダッシュ文庫のは見た目だけだが)の恋愛ものが最近は多いような気がする。大丈夫か?日本は。
それはさておき、魔法を使える人間「魔法士」が国家財産として管理・保護されている世界で、魔法士のエリート期間「内閣府特別対策局」に所属する主人公が、とある事情で魔法士養成校(もちろん初等教育というこで所謂小学校)へ教官として派遣される、という設定はオリジナリティがあり面白いですね。そして、つっけんどんで無愛想だが実は情に厚い主人公十郎と、外面は良いが実は冷酷非道で破壊衝動に捕らわれている能勢の対比がいい味出していますね。
しかも、ある意味つっけんどんで無愛想な主人公がヒロインである女子生徒とと触れ合い、心を通わせていくところは微笑ましい。養成校がテロリストに占拠されるところにもストーリー上無理はないし、アクションシーンもなかなか良い感じです。
ストーリーもキャラの魅力付けも、大賞を受賞するだけあって良くできていると思います。特に、ラノベ慣れしすぎると、信乃か祐平あたりが内通者じゃないかとか深読みし過ぎてしまいますが、そんなこともなく、変にひねっていないのがあっさりしてて良い方向になっているかなと。
そうそう、イラストのかぼちゃ氏は挿絵が初めてということですが、個人的には好きな絵です。イラストも購入要素では大きいので良い方が登場したのも嬉しいですね。
楽しみな作者が誕生しました。これだからHJ文庫は楽しみなレーベルです。ぜひ続刊を出して欲しいですね。
しかしまぁ、ヒロインをあえて小学生にする必要があるかどうかということは疑問だということは無視しましょう。


■今日の決めゼリフ

「背中だけじゃなく、そいつの顔をしっかり見ろ。何に喜び、何に悲しみ、何に怒るか知れ。追いついて、肩を並べて歩いていけるように。決して見失わないように、な」(by 椎葉十郎)
自分の尊敬する人を目標にしたいという月子に対し、全力で追いかけるだけじゃなく振り向かせろという十郎のアドバイス。自分が失敗したことを繰り返さないようにアドバイスするこの言葉には重みがありますね。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。