女帝・龍凰院麟音の初恋3

女帝・龍凰院麟音の初恋 (3) (一迅社文庫)

女帝・龍凰院麟音の初恋 (3) (一迅社文庫)

■独断偏見ミシュラン:★★★★★


一迅社文庫で一番好きなシリーズ。書いたつもりだったが1巻2巻はここに書いていなかった…。
巨乳好きの主人公、月見里悠太が記憶喪失期間だった夏の間に「学園の女帝」と恐れられる超堅物の風紀委員長にして、日本有数の大財閥のご令嬢、アイドルも逃げ出す超絶美少女・龍凰院麟音と恋に落ちた・・・らしい証拠を、同じく夏の間の記憶がない麟音から突きつけられ、「一週間以内に恋なんてしてなかったと証明しろ。さもなくば死刑にする!」と言われ、失くした記憶を取り戻すため学園中を巻き込んでの記憶喪失ラブコメディの3巻目。
富士見ファンタジア文庫では「殺×愛」で有名な風見周氏。この作品では、シリアスから一転、典型的な学園ラブコメを最高の作品として提供している。主人公の極度の巨乳好きに対し、麟音は言わずもがなの貧乳。でも記憶を取り戻すために恋人の振りをしているうちに、麟音の負けず嫌いなのにとても繊細で傷つきやすい心を見て、なんだかんだいいながら麟音のために必死に奮闘する主人公。まあ所謂ツンデレになるのだろうが、口ではなんだかんだ言っても、ピンチの時に主人公に助けをもとめる麟音。記憶を取り戻したときの二人の終着点はどこへ向かうのか、とても楽しみな作品です。
今作では、とくに麟音のライバルである姫神美麗の、主人公に対する気持ちが膨らんでいき、抑えきれなくなるところが見もの。あーだ、こーだと策を巡らし、主人公を麟音から自分に振り向かせようとするが、周りの男性が自分をもてはやすことがあっても自分から男性に想いを寄せることは皆無だった美麗の不器用さがとてもかわいらしく表現されています。また、反発しあっていても麟音を助けるために全力を尽くす、一方で主人公との何でも言うことをきくという約束を守るために敵に塩を送る行為を行うことができる、美麗の魅力がよく現れている今作でした。
また、読者から見たときの天王寺翔のキャラの嫌らしさ、憎らしさがよくできていると思うし、主人公と翔の対決を、「略。」の一文字で済ます大胆さと発想に、思わず吹き出すとともに、著者に対する畏怖を感じました。ここまで適確で斬新な「略」は見たことありません。最高です。今後も応援していきたいとおもいます。


■今日の決めゼリフ

「♪も〜めろよ、もめろ〜よ〜 ♪修羅場だ、も〜め〜ろ〜」(by 宇佐美美雪)

麟音と美麗が主人公を取り合うさまをみて、燃えろよ燃えろのメロディに合わせて歌うウサミ。
その発想はなかったわぁ。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。