ニッポン全国マヨネーズ中毒 (The New Fifties)

ニッポン全国マヨネーズ中毒 (The New Fifties)

■独断偏見ミシュラン:★★★★
今更感があるかもしれないが、2007年が明けてからというもの某製菓メーカーの問題や某TV番組の捏造問題で話題沸騰である。
そうした中、ふと思い出したのがこの本だった。
実はこの本の著者である伏木先生には仕事の関係で講演をお願いし、その打ち合わせとして1度お会いしたことがある。数年前のことだ。天下の京都大学の先生であるが非常に気さくな方で、また講演も話が上手でひきこまれた。そのとき事前に読んで欲しいということで紹介されたのが、当時伏木先生が連載していたMSNジャーナル(ポータルサイト)のコラムがこの本の前身になります。
初めてそのコラムを読んだときは衝撃的でした。それまでにありふれていた「これを食べたら健康になる!」とか「これだけ食品関連企業の不正がある!」の押し付けがましい決定的な栄養学や暴露的な内容は一切なく、どちらかといえばそうした風潮に警鐘をならす内容だったのです。


たとえば、食品の産地不当表記問題に関する一説をお借りすると・・・


『正確な表示は、大切だよ。嘘はいけない。不正表示は詐欺行為だ。犯罪として対処すべきだ。』


と、まあワイドショーでしたり顔で話をするコメンテイターみたいになっていますが、ここからさらにこう言うのが伏木先生のすごいところです。


『でも、「不正表示のために長い間まずいものを食べさせられてきたかと思うと腹が立つ」ってコメントは変じゃないか。まずけりゃ買わなきゃいいのに。腹を立てるべき相手は、「さすが××産は高いけど味が違うね」なんて悦に入っていた自分の舌じゃあないの』


これを読んだときは、まさに膝を打って「ごもっとも」という言葉しか出ませんよ。
この本読んだらTVのワイドショーでわめきたてている人たちの言動が胡散臭くて見てられなくなりました。


話がそれましたが、内容はコラムをまとめたものなので読みやすいので、ぜひ読んでいただきたい1冊です。現在の日本の食事情を斜めに見ていて読み物としても十分面白いものになっています。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。