■独断偏見ミシュラン:★★★★★

第13回電撃小説大賞の最終選考作品だそうです。特に何も受賞していませんが、出版にこぎつけてしまうほど物議を醸し出した作品とのこと。
ちょっとタイトルがサイコちっくですが、うん、登場人物も一部サイコですがすんなり読める作品ですね。「物議を醸し出す」とある通り、これは大賞を獲るかさもなければ何も受賞しないかが紙一重で分かれる作品ですね。
幼少のころに遭った事件で心が壊れてしまった少女と、同じくその事件に遭遇したことであらゆる自分の感情を嘘ということで処理することでアイデンティティを確立している少年の、なんていうんでしょうかね、ハートフルストーリーと言えばいいんでしょうか、悲しい支え合いと言えばいいんでしょうか。
まーちゃんの心の壊れッぷりがいっそ哀れで、みーくんの自分の感情を嘘で処理するのが哀れで、最後は最近流行のやるせなさの残る作品かなと思ってましたが、ラストはあれはハッピーエンドというか丸く納まったということでいいんでしょうね。壊れッぷりのなかに愛敬がある作品で、一気に作品に引き込まれます。最後まで犯人のわからないどきどきの展開もよいし、壊れたがゆえに一途で純粋にみーくんを想うまーちゃんがまたかわいらしい。ラノベのあらたな境地を開いた作品ですね。気に入りました。


■今日の決めゼリフ

「嘘だけど」(byみーくん)
人が怖い。だからすべてを嘘で流す、嘘で塗り固める。作中で頻繁に出るセリフですが、結局この一言にみーくんのすべての思いが込められているのでしょう。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。