図書館戦争

図書館戦争

図書館戦争

■独断偏見ミシュラン:★★★★★

ハードカバーのライトノベルってどうよ?と思わなくはないが一応ライトノベルタグを付けてみる。
ここに来て、一気にメディアミックス化してブレイクしたので、4巻一気読みしてみる。
行き過ぎた表現や言葉の規制を行いメディアの良化を促進するメディア良化委員会と、憲法に保障された表現の自由を守るためにどのような本であっても図書の収集を進める図書館を守る図書防衛隊特殊部隊の戦いの物語。実際に銃を持っての衝突になるので「戦争」という表記は文字通りの意味になっている。
ライトノベルのタグを付けたくなるだけあって、内容としてはお堅いアクションストーリーというよりはいっそラブコメでもいいかもしれない。しかし扱っている内容は考えさせられる。特に今の世の中『子供を守る』ということを建前に、なんでもかんでも汚いものから目をそらす方向にある。商売柄思うが、この2月から携帯電話会社のフィルタリングサービスなんて、子供相手の商売をしている会社を軒並み潰そうとしているとしか思えない。理念としては間違っていないのだろうが。
こうしたことが行き過ぎると、この物語に出てくるような「メディア良化法」みたいな馬鹿らしいものが出来上がるのだろう。大人としての義務は子供が汚いものに目が行かないように蓋をして回るのではなく、なぜそのようなことが出てくるかの理由と過程を理解させ、どのように解決していくかを考えさせることなのではないかと思う今日この頃。実際に読み進めると今の世の中の風潮では、こういう法律ができかねないと冷や汗が出てくるのは私だけではないはずだ。
そうしたことを考えさせられる、でも内容・文章などはハードカバーという量があるにせよ「ライトノベル」と呼んでいい、読みやすい本に仕上がっているのは著者に頭が下がる。
まあ、穿った見方をし過ぎると果ては憲法論・憲法改正論まで行くので、この辺に留めておくのが吉かなと。
漫画・アニメ化などで幅広い人たちの目にとまるだろうが、著者の意図を一番伝えているのは本だと思うので、入口は何であれ最後にはこの本を読んで欲しい。
そんなすばらしい一冊に出会いました。


■今日の決めゼリフ

「正論は正しい。だが正論を武器にする奴は正しくない。お前が使っているのはどっちだ?」
(by 堂上篤)

郁を正論をもってして攻める手塚を諌める一言。
本当に本当に本当にその通り。世の中のタチの悪いクレーマーに言ってやりたい。
まったく、どうしようもなく取り返しがつかないからクレームになるのに、どうしてくれるんですか?ばっかり言いやがって、逆にどうして欲しいか言いやが・・・もとい、まあ、面と向かって言えないから辛いんですけどね。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。