俺の妹がこんなに可愛いわけがない

■独断偏見ミシュラン:★★★☆☆

まあ、なんとなく購入してみる。帯で乃木坂春香に「とっても面白かったです。桐乃さんとお友達になりたいです(ハート)」と言わせてるのは・・・。
妹と恋愛関係になるわけではない、どちらかというとイマドキな中学生の妹と平凡な高校生の兄の物語。それまで口もきかなかった二人が、妹が実はオタクだということが兄にばれて、そのことで人生相談をされるようになっていくという兄弟の物語。普段はイマドキの中学生である自分。でもアニメやエロゲーが好きな自分。どちらも本当の自分であり、それを受け入れていく心の成長の物語と評しましょうか。
「オタク」というものが世間からどのように見られるかをある意味適確に表現し、オタクであり続けることの難しさ、仲間を作る難しさと喜びがよく出ていると思う。何でもかんでも恋愛関係に持ち込むありがちなストーリーとは一線を画しているのはとても評価できる。その分、甘いシーンは皆無ですが。
オタクというものの線引きも考えさせられる。本編にあるが、アニメを見ているラノベを読んでいるということがオタクなのか、人それぞれの趣味がありそれを掘り下げていくだけなのに、スポーツとか芸術はオタクと呼ばれない。結局、小さいときはほとんどの人はアニメや戦隊ものが好きだが、やがて結局は世間体を気にして、または周りの友人に合わせて無理やり見なくなって行くか、ある日突然面白いと感じられなくなる。そうして「一般人」に帰っていく。帰らずに成長した人を「オタク」と呼ぶ。そういった違いでしかないのだろうか。
なんてことを考えさせられました。
ただ、人によっては兄のオタクへの偏見というかオタク嫌いっぽい心情表現を嫌に思う人もいるかもしれませんね。
あと、題名がユニークですが、最後まで読むとそのオチが分るので、物語に締めがあってよい構成です。その辺は「狼と香辛料」みたいなもんですね。
まあ、サクっと読めて面白い作品だと思います。


■今日の決めゼリフ

「ありがとね、兄貴」(by 高坂桐乃
同じ家に住んでいても、口もきかなかったのに、すったもんだの後に、こうやって兄にお礼を言えるというところに桐乃の成長が見て取れますね。まあ、あれだけ体を張った主人公(兄)にお礼の一言もなければ悲しすぎますが・・・。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。