反逆者〜トリズナー〜 ウンメイノカエカタ

■独断偏見ミシュラン:★★★★

スーパーダッシュ第7回小説新人大賞の佳作受賞作。イラストと内容紹介に惹かれ購入。
「進化薬」と呼ばれる薬物によって驚異的な力を手に入れた「先駆者」が存在する世界。そこで主人公は、「先駆者」として特別治安維持局で任務についている。主人公の力は他者の死を見る予知能力。
予測された未来、避けられぬ他者の死。それを運命と呼ぶかは置いておいて、あきらめること、それを受け入れるということに慣れきった主人公が運命にあらがうという、ある意味王道的なストーリー。
主人公が運命は変えられないという思いと、今回は助けたいという思い。助けたいという思いがシアの言動によって徐々に強くなって行き、そして抗おうと立ち上がるところが、本編の一番の面白さだと思う。
ちょっと最初は主人公がシアの親切を避けるのが堅くに過ぎる気もするが、脇を固めるサブキャラが魅力的で、ヒロインのシアは純粋な中にも芯の強さが見え、また、オトボケなところもかわいいですし、愛海も主人公が日常へ戻れる場所のキャラとしてときに悩める主人公を叱咤激励し、浩太郎はボスとして腹黒そうにオトボケキャラをやっていたりと、ストーリーを鮮やかに彩っています。


■今日の決めゼリフ

「少し思い出しただけです。ごめんなさいより、ありがとうって言われたいし言いなさい。友人の言葉なんですが……咄嗟に謝るのは自分を守りたいから。人間の弱い部分ですね」(by立花浩平)

すぐに、自分が悪いと思い「ごめんなさい」と誤るシアに対しての浩平の言葉。
なんか良い言葉ですね。ありがとうと言われる人間になろうと、皆思えば、もう少し世の中も平和であるのでしょうか。


ミシュランの星
:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。