ライタークロイス5
- 作者: 川口士,柴倉乃杏
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 文庫
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私はこの未完を支持します。
書こう書こうと思っていたものの5巻で完結してしまった。
当初はイラストがなんとなく合わなくて購入を見送ってしまったが、3巻が出たあたりで購入してみて嵌った。
著者が言う「一人の少年が夢をつかむ物語」としてとても完成されたもので、騎士勲章(ライタークロイス)の設定なども面白く、少年が仲間と出会い、そして成長していく姿は物語りに引き込まれる。
また主人公の少年カインが、フェリアとイングリドのどちらを選ぶかなども気になっていたが、この5巻で一応の決着を見せ、さらに成長していくことが楽しみである。
ただ、惜しむらくは撒き散らした伏線があるまま、この5巻で完結してしまったことだ。
これからさらに騎士勲章の秘密が解き明かされて行こうとしているところでの完結に、多くの人は不満を抱くであろう。まさに、週刊漫画で打ち切りの際に「これからの主人公の活躍にご期待ください」的な終わり方ではある。
しかし、なぜか、これもありだと思ってしまった。騎士となるという夢をつかむその過程において、悩み、仲間を得て、笑い、悲しみ、その過程で自分の進むべき道、理想の騎士像に気づき、新たなる一歩を踏み出していく。そうしたことが本当によく出ている物語だった。
だから、これは完成された「未完」なんだと、そう思ってしまったんだと思います。もしかしたら打ち切りなのかもしれませんが、私は、この終わり方を支持します。
■今日の決めゼリフ
「何かがなくちゃ、駄目なのか」(byカイン・パルス)
イングリドに告白したものの「私には何もない」という彼女へ向けての答え。何かを持っているから相手を幸せにしてあげられる。そういうのじゃなくて二人で幸せであり続けるように並んで歩いて行く、という、カインの想いが出ているセリフで、読んでいて興奮しました。
次点:「僕は、君が……好きだ。君の笑顔が好きだ。だから、君が笑っていられるようにしたい。そのために、帝都を、帝国を、この世界を守りたい。それらは、たぶん、すべてどこかでつながっていると思うんだ」(byカイン・パルス)
ラストシーンのイングリドへ向けたカインの言葉。自分の理想とし、歩んでいこうとする騎士像を言葉にしたもの。なんか、ラストに相応しく、胸に響いてくる言葉です。
■ミシュランの星
★:死ぬまでにあと1回読めばいいか…。
★★:普通に面白い。2年に1回再読したい。
★★★:結構面白い。1年に1回は再読したい。
★★★★:非常に面白い。やることないなら再読したい。
★★★★★:最高!聖書代わりに枕元に必携。